今回は独断と偏見によるクラシックギターの名曲を紹介していきます。
名曲の定義は人それぞれですが
今回の選考基準は
- 有名である
- 愛好家からプロまで愛奏されている
- 聴きやすく印象に残る
- 練習して勉強になる
聴いてよし、弾いてよし、学んでよし。
名曲は他にも沢山あり、いくらでも紹介したいのですが泣く泣く12曲に絞りました。
目次
1.魔笛の主題による変奏曲 F.ソル
フェルナンド・ソルは古典派を代表するギタリスト。クラシックギター史の最重要人物の一人です。
ソルの曲には音楽的に優れたものが多いですが、今回はとりわけ有名な「魔笛の主題による変奏曲」を選びました。
これはモーツァルトが音楽を担当したオペラ「魔笛」の中の「ああ、なんという響き」の旋律を使って変奏曲にしたもの。
序奏は重々しい短調で始まりますが、主題は軽快な長調で始まります。
様々な性格を持った変奏曲が5つあり、最後は雄壮なコーダで終わります。
元になった旋律はこちら。
似ているような似ていないような。
2.アストゥリアス I.アルベニス
イサーク・アルベニスはスペイン国民学派を代表するピアニスト。クラシックギター界で「スペインもの」と言われれば真っ先に頭に思い浮かぶのがこの「アストゥリアス」でしょう。
アルベニスがギターに編曲されたこの曲の演奏を聴いた時に「これが私の求めていたものだ」と発言したそうです。
6本の弦を掻き鳴らすラスゲアードはスペインらしさを良く表現しています。
3.アルハンブラの思い出 F.タレガ
近代ギター奏法の父と呼ばれるフランシスコ・タレガ。
タレガの曲で最も有名な曲はこの「アルハンブラの思い出」でしょう。
トレモロの旋律はアルハンブラ宮殿を訪れた際の噴水の音を表現していると言われます。
美しい旋律とは裏腹にトレモロ奏法は難度が高く、クラシックギター愛好家の憧れであると同時に壁となる曲でもあります。
4.大序曲 M.ジュリアーニ
マウロ・ジュリアーニはソルと並んで古典派を代表するギタリスト。
イタリア人らしく、技巧的で派手な曲が多く現在でも多くの曲がプロギタリストによって演奏されています。
また室内楽、協奏曲まで多数の曲を作曲した幅の広さもジュリアーニの特筆すべき点です。
5.序奏とロンド D.アグアド
ディオニシオ・アグアドはスペインのギタリスト。
「序奏とロンド」はアグアドの作品の中でも一番の大曲と言われています。
ロンド形式を知るにはとても良い作品と言っていいでしょう。
6.オートゥイユの夜会 N.コスト
ナポレオン・コストはロマン派を代表するフランスのギタリスト。パリで活躍したソルに師事した時期もあったといいます。
転調や半音階を多用するロマン派の音楽をギターで表現しようとしたコストの曲は多声的で複雑なものが多いです。ロマン派の時代はクラシックギターの衰退期にあたりますが、その中でも最大限ギター音楽の発展に挑戦する姿勢が作品から感じられます。
「オートゥイユの夜会」は派手な転調はないものの、コストらしさを楽しめる佳作と言えるでしょう。
7.プレリュード第一番 H.ヴィラ=ロボス
ブラジルが生んだ大作曲家エイトル・ヴィラ=ロボス。
彼が残した23のソロ曲は現在でも重要なレパートリーとして愛奏されています。
その中でも低音の旋律が美しい「プレリュード第一番」を選びました。
西洋音楽とブラジルの民族音楽の融合を試みた独特な音楽が魅力です。
8.大聖堂 A.バリオス
南米パラグアイが生んだ天才アグスティン・バリオス・マンゴレ。ヴィラ=ロボスと同様に、民族音楽的な曲が多い中、この「大聖堂」はバロック音楽のような重厚さを感じさせる曲です。
クラシックギターを弾く人ならば誰もが一度は弾いてみたい憧れの曲ですが、第三楽章はアルペジオと音階が無窮動的に続いていく難曲となっています。
9.カヴァティーナ組曲 A.タンスマン
アレクサンドル・タンスマンはポーランドの著名なピアニスト兼作曲家。
タンスマンはスペインの巨匠・セゴビアと出会い、その演奏に大いに感動しギター曲を作曲しています。
その中でもよく演奏されているのが「カヴァティーナ組曲」です。
元々はプレリュード、クーラント、スケルツィーノ、バルカローレの四楽章の曲でしたが、終わり方が地味だった為か、セゴビアの依頼で派手に終わるダンサ・ポンポーサが追加されたという裏話があります。
旋法、ポーランドのバックグラウンド、印象派の影響を大いに感じさせる名曲です。
10.トリーハ F.M.トローバ
フェデリコ・モレノ・トローバはスペインの作曲家。
トローバもタンスマンと同様に、セゴビアの依頼を受け多数の曲を書き上げました。
「トリーハ」は組曲「スペインの城」の中の一曲で、タイトルにある通りトリーハ城の情景を描いたものとされます。
Elegia(哀歌)の副題がついており、フランスとの戦争で廃墟と化した城に想いを馳せたのかもしれません。(城の修復は1962年)
感傷的な旋律とクラシックギターでは耳慣れない調への転調がこの曲の聴きどころです。
11.BWV998 J.S.バッハ
音楽の父ヨハン・ゼバスティアン・バッハはギターの前身であるリュートの曲を6曲残しています。
BWV995〜1000の6曲はクラシックギタリストにとって大切なレパートリーとなっています。(BWV1006aもリュート組曲第四番として愛奏されています)
中でもBWV998(プレリュード・フーガ・アレグロ)は人気があり、コンサートでもよく取り上げられる曲です。
第二楽章のフーガは各声部を表現する練習として勉強になること間違いなし。
12.ファンタジー J.ダウランド
ジョン・ダウランドはイギリスのリュート奏者。
バッハが活躍したバロック時代よりもさらに100年ほど前のルネサンス期に活躍し、その当時はリュートの全盛期と言える時代でした。
ダウランドは多くの歌曲と器楽曲を残し、中でも「ファンタジー」はクラシックギターでもよく演奏されます。
ルネサンス期のプリミティヴな趣を味わえる名曲です。
以上でクラシックギターの名曲の紹介を終わります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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