今回はクラシックギターの右手のフォームについて書いていきたいと思います。
ギターという楽器は多くの場合左手を見て演奏するため、右手のフォームは自分が思っているほど安定していないことが多いです。
右手は弾弦して発音する役割がありますので、実は左手よりも重要な役割があると個人的に思っています。
右手が自然で無駄のない動きになるだけで驚くほど弾きやすくなります。
また音と音の繋がりも良くなり聴いている人に安心感を与えます。
初心者、初級者の方は変な癖がつかないように気をつけてください。
中級者以上の方も、もう一度自分の右手を見直してみましょう。
ただ曲を弾くだけの練習よりも何倍も有益です。
実際右手のフォームが安定するだけで、今までいくら練習しても弾けなかった曲があっさり弾けるようになることもあります。
ぜひお試しあれ!!
それでは右手のフォームについて解説していきます。
動画を作りましたのでこちらもご覧ください
↓
目次
1. 右手はテニスボールを持つように
右手の指をそれぞれ以下のように置いてみましょう。
pは5弦
iは3弦
mは2弦
aは1弦
画像のような状態になります。

右手基本フォーム
この時手の中にテニスボールが入るくらいの空間ができるようにしましょう。
力が入りすぎてこの空間が狭くならないように注意してください。

力を抜いてテニスボールが入るように

テニスボールが入るくらいの余裕

力が入って握りすぎ
テニスボールが実は薄いガラスでできているかのように。
力を入れると割れてしまいますからね。
力を抜くと自然と隙間ができます。
力を抜いて構えた状態が右手のホームポジションだと覚えておきましょう。
力が入っていると速い動きを妨げます。
2. 弾弦の角度は45度
特に初心者の方は弦を弾くときに、垂直方向に弾きがちですが、弦に対して斜め45度くらい角度をつけて弾きましょう。

弾弦方向は斜め45度
その方が弦に圧力がかかり、太い音が出ます。
また、隣の弦を弾いてしまうことを防ぐことにもなります。
垂直方向の距離を1とすると45度の距離は√2。
およそ1.4倍の余裕があることになりますね。
3. 手首は少し曲げる。
アコギやエレキなどのフォームと違い手首は少し曲がります。

手首は少し曲げる
こうすることで、指先が自然なアーチを描いて力が入るのを防ぎます。
また、後述の弦をすくい上げるように弾くのを容易にします。

綺麗なアーチを描くように
また正面から見たときに、小指側が直線になるように構えましょう。

右手小指側をまっすぐに

手首親指側を曲げない
このほうが人間の身体の構造上自然な形になっています。
親指側が直線になってしまうと手首に負担がかかり故障の原因になります。
スペインの巨匠セゴヴィアは一見親指側を曲げているフォームに見えますが、
あれは手がめちゃくちゃでかいからできる技であって、日本人の平均的な手の大きさでは真似できるものではありません。
スペインでセゴヴィアの手の実寸大の石膏をみましたがとんでもなくデカかったです。
大きさは自分の1.5倍。厚さは2.5倍くらいの迫力ある手でした。
うーん、こりゃどう考えても真似できないな・・・と思いました。
4. 親指と人差し指は交差する
親指と人差し指がぶつからないようにあらかじめ親指をネック側に突き出して構えます。

pとiは交差させる
こうすることでpとiが隣の弦を弾く場合でも窮屈になりません。
フィゲタ(pとiで同一弦を弾くこと)の練習をしておくとその必要性がわかってもらえると思います。
pとiで同一弦を弾きますので親指が突き出していないと人差し指とぶつかってしまい弾けません。
フィゲタをするときだけ親指を突き出すのではなく普段の基本フォームの時から親指が突き出すのが理想です。
一番良くないのはpで弾弦した後にiの内側に入ってしまうことです。
iの動きを妨げてしまうので素早い動きができなくなってしまいます。
意外とこの症状の人を見かけますのでじっくり観察してみましょう。
5. 爪と肉の交点でプランティング
プランティングとは弾弦する前に、一度弦に指を置くことです。

爪と肉の交点で弦を捉える
これから弾く弦に指をセットして準備しておくことをプランティングと言います。
爪と肉の交点で弦を捉えてから弾弦する癖をつけましょう。
肉だけで弾いてもぼやっとした音になってしまいますし、爪だけでも薄っぺらい音になってしまいます。
初心者の方はゆっくり始めましょう。
弦に指を置く→指の交点で捉えられているか確認→弾弦
これをじっくり観察しながら弾くといいでしょう。体で覚えることが大切です。
プランティングすると音がブツリと切れてしまいますので慣れてきたらだんだん置く時間を短くしていきましょう。
6. 弦をすくい上げるように弾く
弦を弾く方向ですが真横に弾いてしまうと隣の弦に当たってしまいますので斜めにすくい上げるように弾くと隣の弦に当たるのを防ぎながら、弦にしっかり圧力をかけることができます。
指を握り込むイメージですね。

弦をすくい上げるように弾く
真上に弾くのもよくないです。

垂直に引っ張らない
真上に弾くと弦の振幅がフレットに当たってベチっとした音がなってしまいます。
また指の付け根が曲がってしまうのも良くありません。
素人感満載の弾き方ですので見た目にもよくありませんので注意してください笑
7. 親指は付け根から動かして弾く
pは他の3本の指と違って特殊な動き方をすると言ってもいいでしょう。
弾弦の方向が逆ですし、振り抜く角度も違います。
一番重要なのが指先の関節で弾くのではなく、手首の付け根から弾くイメージです。

親指は付け根から曲げずに動かす
最初は慣れない動きでぎこちないと思いますが、この方が弦へしっかり圧力をかけることができます。
肘から先の体重を弦にしっかり伝えるような意識で弾いてみてください。
観察しながらじっくりゆっくり慣れていきましょう。
以上が右手のフォームの解説でした。
コツが多くて大変ですがこれを守ってもらうと無駄な力が抜け、しっかりした音が出るようになります。まずは一つずつ確認しながら長期的に練習してください。
自分の右手をみながら弾くとしっかりしたフォームで弾けるのですが、曲に集中して左手をみて弾くと右手のフォームは崩れがちです。
一度自分の右手の動きがどうなっているか録画してみるのもとても有効です。
また、爪の磨き方や爪の形でも音質は変わります。
気になる方は下のリンクを参考にしてください。
左手のフォームについての記事はこちらから
さらに練習の質を上げる記事はこちらから
他にも気づいたことなどあれば随時追加していきます。
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