今回はヴィラ=ロボス 12のエチュード(練習曲)から右手強化に役立つ第1番のアルペジオについて解説していきます。
この曲は全編に渡ってアルペジオで演奏される曲です。
なので右手が不安定だと全く音楽が流れていきません。
しかも普通のアルペジオとは違い、厄介な指使いになっています。
エチュードとはいうものの、作品としての完成度も高い曲ですのでしっかり練習して仕上げていきましょう!
目次
12のエチュードはクラシックギター必修曲

エイトル・ヴィラ=ロボス(1887~1959)はブラジルを代表する作曲家の一人。
パリに留学し西洋音楽とブラジルの音楽を融合させた作風が特徴。
多作な作曲家として知られますが、ギターのために作られた曲はそこまで多くはありません。
- ショーロス1番(1920)
- ブラシル民謡組曲(1908~1912)
- マズルカショーロ
- ショティッシュショーロ
- ワルツショーロ
- ガヴォットショーロ
- ショリーニョ
- 12のエチュード(1929)
- 5つのプレリュード(1940)
- ギター協奏曲(1951)
- 花の分布(ギターとフルート)
などがあります。
中でもよく演奏されるのがショーロス1番とプレリュード1番ではないでしょうか。
ヴィラロボス全曲集の中に収録されていますので是非一度チャレンジしてみてください。
この2曲はテクニック的にはそこまで難しい訳ではないはず。(と言っても中級者以上の方推奨)
12のエチュードは、上を目指して頑張っている方には是非弾いてもらいたいと思います。
それぞれにテーマが決まっていて、
- アルペジオに特化した曲
- 左手をいじめ抜く曲
- スケールをテーマにした曲
- 声部を弾き分ける曲
があります。
自分の弱点を克服するにはとても良い教材だと思いますよ。
少し話が遠回りしてしまいましたが、今回はアルペジオに特化した1番のコツについて書いていきます。
変則アルペジオを覚える

まずは変則アルペジオをしっかり覚えましょう。
いきなり曲を弾くのではなく、1小節目だけをたくさん練習してまず右手にアルペジオの動きを覚えこませます。
pとiの組み合わせは指が独立して動きやすいのでスピードが出ます。
問題はmとaが連続して出てくる場所ですね。
ここをしっかり独立して動かせるようにゆっくり丁寧に練習しましょう。
大事なことはm,aのスピードにp,iを合わせることです。
意気揚々と弾き始めたはいいものの、m,aの動きがもつれて失速してしまっている演奏をよく見かけます。
こうなってしまっては音楽の流れが滞ってしまいますので、メトロノームに合わせてテンポにムラがないか注意して練習しましょう。
プランティングしながらゆっくり練習する
プランティング(弦に置いてから弾弦すること)をしてしっかり弦を捉えましょう。
アルペジオの音の流れはまだ気にしなくていいので
弦を捉える→弾弦する
この流れを徹底しましょう。
プランティングに慣れてきたらだんだんと捉える時間を短くしていき、音の流れが綺麗につながるようにしましょう。
プランティングすれば隣の弦を弾いてしまうことも少なくなります。
動きも小さくコンパクトになるので見た目にも綺麗です。
右手のフォームはaを中心に考える
pとiからアルペジオが始まりますので意識がp,iに向いてしまいますが、aの指を中心にしてみると弾きやすくなります。
p,iを中心に考えると
・右手全体が大きく動く
・m、aの動きが悪くなり、弾弦ミスが増える
というデメリットがあります。
aを中心に考える練習方法として
- aの指を弾きやすいフォームにして構える
- その形を崩さずaを1弦に置いておく
- p,iを伸ばすようにして弾弦する
という方法があります。
なるべくaがいつも1弦の上にいるつもりで弾いてみると安定します。
p,iは器用な指なので、右手全体を動かすのではなくp,i2本だけを動かすイメージです。
4〜5小節目 音の流れをよくする為、左手を工夫する

左手で一番難しい場所は4、5小節目の指の切り替えだと思います。
ここでもコツがあって、最後のレ#(もう1音前のラでも可)を弾いた瞬間に左手を離して次の押さえの準備に入ります。
レ#は1の指で押さえていますので、その他の指を離します。
こうすることで音の流れをぶった切ること無く演奏することができます。
クラシックギターではこういったテクニックが実は多くあります。
何でもかんでも無理して音を伸ばそうとしてしまうと、逆に音楽が途切れてしまうことがありますので、勇気を持って音を切ることも時には大切です。
音は切れるが音楽は切れないように工夫するバランス感覚が必要になってきますね。
それが難しいんですが・・・(笑)
24小節目の運指

そして、色々な弾き方があるのが24小節目でしょう。
ここでは自分が弾いている運指を挙げてみました。(見づらくてスミマセン)
この運指だと開放弦を上手く使い、右手アルペジオの形をあまり崩さず弾けるかと思います。
ヴィラロボスの練習曲は基本的に必要最低限の運指しか書いていないので、自分で色々と試してみることが重要だと思っています。
答えはありませんので自分なりに試行錯誤してみると本当に勉強になる教材だと思っています。
ジガンテ編について
最近知ったのですが12のエチュードについてはジガンテが運指をつけた版がありまして、
こちらも参考にしてもらうといいかと思います。
「運指いちいちつけるのめんどいなー」という方にはオススメの一冊となっています。
運指以外にも色々な予備知識、変更点、実は後々再出版された楽譜などもありますので興味深い内容になっています。
ヴィラ=ロボス協会
ヴィラ=ロボスについて色々検索していたら
ヴィラ=ロボス協会なるものを発見しました。
覗いてみるとヴィラ=ロボスに関するマニアックな事がたくさん書いてありましたので
興味のある方は是非熟読してください。
ヴィラ=ロボス愛が溢れています。
そのうち協会本部にお邪魔してみようと思います
まとめ
・ヴィラロボスの12のエチュードはクラシックギタリスト必修曲
・変則アルペジオのしっかり右手に覚えこませる
・右手はaの指を中心に考えると無駄な動きが少なくなる
・左手の押さえが難しい時は、バッサリ音を切った方が音楽の流れが良くなることもある
・24小節目は自分で考えた運指で色々試してみましょう
・ジガンテ編も興味があったら買ってみましょう
以上がヴィラ=ロボス12のエチュード 1番のアルペジオのコツについての解説でした。
参考になれば幸いです。
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右手のフォームに不安がある方はこちらの記事も参考にしてください。
基本アルペジオについてはこちらにまとめてあります。
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